SBS行政書士事務所

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借入の極意。行き当たりばったりで相談するより事前準備でできること事をしましょう。


世の中の会社では程度の差はあれ、ほとんどの会社で銀行などから借入をしていると思います。そして多くの中小企業では保証協会付きの借入をしているはずです。

借入の相談を金融機関にすると、まず決算書、試算表等の財務資料を確認されます。ここで業況が良いことが分かれば担当者も基本的に前向きに取り組むことになるでしょう。ではどんな時に微妙な反応になるのか。私は財務的な観点からは以下の項目を重点的に見ていました。

①直近2期(3期)連続で赤字になっていないか

②債務超過になっていないか

③売上に対して売掛金、在庫が多くないか。(焦げ付きの可能性がないか)

④売上規模に対して現預金が少なくないか

⑤既存の借入が多くないか

⑥貸付金や未収入金など基本的に不良資産と判定される科目が多額ではないか

①と②に関しては業況自体が悪いので、取組自体難しい可能性があります。③~⑥については審査上気がかりになるといった感じです。これらすべて問題なければ取り組む上で懸念はあまりないかなと思います。※借入希望金額が適正である事が前提

財務以外の確認事項としては大体以下の通りです。

①資金使途

②今後の見通し

③各金融機関との取引状況

④返済財源

⑤金利、借入期間、担保、保証人

①はなぜ資金調達が必要なのか、何に使うのかが明確でなければなりません。売上増加に伴う増加運転資金という名目であればある程度自由に資金を使えるのですが、仮に設備資金の場合ではその設備の購入に資金使途が限定されます。万が一融資金を他の目的に使ってしまった場合は資金使途違反で全額一括返済を求められる事もあるので、注意が必要です。

②は今後の業況予測や事業計画に関して前向きになれる材料があるかどうかを確認します。その為業況が厳しくなる予想での資金手当てであれば、その融資金があれば資金繰りが回る事を証明できる資金繰り表と、事業計画書又は業況に関する意見書のような資料を付けるといいですね。

③万が一他の金融機関にも依頼していて断られたという状況であればお断りされる可能性が高いです。

④は返済原資はどこから来るのか、既存の売上で返済可能なのか売上増加分で返済するのかを確認します。※期日一括返済の場合は返済原資となる売上の受注明細等疎明資料を求めます。

⑤は条件面の確認ですね。これはある程度フォーマットが決まっているので、保証協会のどの制度を使うかによってちょっとずつ変わるのですが、これを基に決めていく事になります。

どの項目が一番大事という事もないのですが、大前提として決算書の内容で業況がいいに越したことはないので、そこがまず大事になります。あとはその他の項目全体として社長の言っていることにおかしなところはないか、矛盾はしていないかというところを見ています。

基本的にしっかりとした社長がほとんどなのですが、極稀に人をだまそうとする経営者もいます。数百万円の融資でも返済されなければ丸々貸倒となり、その金額を利息で取り返そうとするとその何倍もの融資をしなければ取り返せないので、借入の審査は適当にはできないのです。

余談ですが私も一度だまされたことがあります。担当者は取引先会社の役員だったのすが、経理回りは全てその役員が担当しており社長に合うのはほんとにたまにという会社でした。業況は悪くなく、他行取引も活発で各行積極的に融資している状況だったのですが、当時私も借入が一本終わるので折返しの提案をして即融資をしたところ、融資実行後1ヶ月くらいたってから専務から連絡があり「自分は辞めるから」と、電話してきました。その後すぐにFAXに弁護士からの受任通知が届き、当該会社の資金が横領されたことにより業況悪化となり融資金の返済ができないので、つきましてはバンクミーティングを開催して状況の説明及び今後の返済に関してのお願いをしたいというような内容が書いてありました。要するにその専務が横領していたという事でした。事業で使う資金として資料などのももらったと思いますが、結局はそうはならず私腹を肥やしていたわけです。

割と優良先で他行も貸し出ししていた事もあって多少油断していたのかもしれませんが、もう一度同じ状況になったとしても怪しいとは思えないかなぁと当時思っていました。それくらい嘘を見破るのは難しいのです。

話が逸れましたが、社長の説明に一貫性と妥当性がある事は非常に大事になります。その為、どんぶり勘定であまり会社の状況を把握していない社長はできるだけご自身で業況を把握するようにしてください。そうすることでより融資実行に近づくと思います。


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