将来性のある事業。今までもいっぱいありましたね。スマホ、AI、仮想通貨、電気自動車など色々な事業が始まってそして非常に大きな市場に成長しました。今でこそほとんどの人に認知されていて銀行員にその話をしても大体の大枠は理解してくれると思います。
一方で、まだまだ認知が進んでいない、けれどもこんな事ができるんだ、これで世の中をよくするんだというサービスを創造し事業化を目指している起業家の方々も多くいらっしゃると思います。
そのような将来性のある事業にいっぱいお金を出して、よりよいサービスを作ってほしい!と個人的には思います。
しかしながら、銀行の目線はそこにはないのです。事業の将来性は素晴らしいですね、で、決算の実績はどうです?という目線です。
人情だけでは融資はできない
この点については銀行の営業担当者としても非常にもどかしい部分だと思います。対面してお話をしてくれる社長の熱意はとても良く伝わってくるし、何ならほんとに一大事業になるんじゃないかとさえ思わせてくれるようなサービスだってあります。そのようなサービスの事業化、拡大化の為に融資をしたいと思うのが人情なんだと思います。
ただ残念ながら人情だけでは融資はできないのです。もちろん社長の熱意は非常に大事です。ただ現状の金融機関の融資スタンスとしては決算書の内容重視で、どの程度現状で収益力、返済力があるかで、その上で将来性があればいいですねというのが本音です。社長としてはもっと事業の中身をみてくれよ!と思うことでしょう。銀行もここに関しては予てよりテコ入れは必要だとは思っています。
事業性評価
そこで出てきたものが事業性評価融資。読んで字のごとく事業の中身を評価して融資しましょうというものです。簡単に言うと対象企業の事をよく調べて、経営者から良く話を聞いて、現場をよく見て判断しましょうというものです。これで融資の仕方が大きく変わるかというと現状ではとても限定的。なぜなら銀行としては手数も掛かるので、全先に対して事業性評価を行うのは難しいからです。ある程度前向きに融資を取り組んでいきたい先が対象になるので、まずはその土台に乗らなければならないのです。また銀行員もその道のプロというわけではないので、お客様の事業を一から十まで全て理解することは難しい現状において、事業がいいか悪いかの判断が画一的にできるかというとそこも難しい。その為、事業性評価のみで融資が為されるわけではなく今までの決算書などの財務情報とその他の定性評価項目と組み合わせて判断されます。
ではどうしたらいいのか?
これは、私の考えではありますがまずはその事業性評価をする対象先として土台に乗る事が大事だと思います。現時点で業況もよく誰が見ても将来性がある会社なら銀行が勝手に土台に挙げて融資提案してくると思いますが、そのような会社ばかりではありません。試算表も半年に一回の作成だったり、資金繰り管理もざっくりとしたものだったり、事業計画なども作っていない会社も多いと思います。非常に手間もかかるし、大変ですよね。ですが、こういったものを作って、会社の現状把握をし、計画に沿って事業運営をし、その結果が計画とどう乖離しているか、では計画に対して次はどういうアプローチをしていくか、このような事を書面にして銀行に定期的に報告することで、確実に信頼性は高まっていくと考えます。また経営者としても計画(目標)があると、それを達成するための行動になると思うので少なからず業績も良くなっていく可能性が高いと思います。
会社を財務面から把握すること、計画を作る事は一朝一夕でできる事ではないですし、時間の確保が難しい社長もとても多いと思います。そして何よりも計画を絵に描いた餅で終わらせない事が大事ですが、いずれにしてもないよりはあった方がいいですし、あれば行動指標にもなります。加えて銀行に説明する資料としてお互いに理解しやすいものになればいずれ銀行からの評価も変わっていき、事業性評価での前向きな融資を勝ち取れるようになるのではないでしょうか。
結論
結論としては、将来性のある事業というだけで融資が勝ち取れるという事ではないのです。しかし徐々にそういった事も加味して融資をしましょうという流れにはなってきています。事業性評価融資は銀行が取り組む先として選んでくれるかどうかなので、そのような対象先になる為に会社をいい方向に動かしていく事が大事だと思います。時間はかかるかもしれませんが、会社を良くしていきその上で銀行との関係も良くしていく事はどんな会社でも有意義なものになるのではないでしょうか。
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