プロパー融資。ほとんどの社長はこの言葉を理解していますよね。保証協会などの保証会社つかない全額銀行がリスクを負う融資形態です。どの会社でもプロパーか協会付きかで選べるとしたらそれはプロパー融資を選ぶでしょう。なぜなら保証料の負担がないからです。それに加えてプロパーを借りれるという事は一定の信頼度があるという事の裏付けです。
ですが、このプロパー融資を受けられている中小企業はどれほどいるでしょうか。ほとんどいないとは言いませんが、やはり数は少ないですよね。金融機関も保全無しで融資するわけですからそれは慎重に審査もしなければならないですし、基準も高くなります。
どんな基準があるのか?
各金融機関によってはそれは様々ですが、大体は債務者区分で正常先に区分されている企業、若しくはギリギリで要注意先になっている企業までが可能性があるのかなという印象です。この債務者区分は決算書等の財務情報を定量評価したものに加えて、企業・代表者などの定性情報、代表者の資産背景等を加味して年に一回見直されるものです。いわゆる自己査定という作業です。この自己査定を通じて、債務者区分が決定されるのですがここで正常先に区分されれば業況によってはプロパーを引き出せる可能性はあります。しかし、要注意先に関してはやはり少し難しいとは思います。金融機関によっては独自のプロパー商品を設定していて要注意先まで検討の土台に乗せますよという基準があるところもあるかもしれませんが、土台には乗るけど、審査が通るかはまた別の話だからです。
そもそも論として債務者区分ですが、6区分に分かれています。正常先、要注意先・要管理先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先。このうち上から2つ目までが新規で融資を受けられるといわれている先です。要管理先でも保証協会が承認すれば融資を受けれると聞いたことがありますが、個人的には対応したことはないです。(条件変更改善型借換保証という制度のことかもしれません)
どうすれば正常先になるか
身も蓋もない話ですが、細かい事を抜きにして業況が順調で黒字決算を続けていけば正常先にはなります。その中でも気を付けていただきたいのが、他社及び代表者などへの貸付金や売掛金の回収不能資産などです。決算書上では売上も順調、利益も出ていて、自己資本も資産超過になっていても、B/Sに貸付金や未収入金、売掛金の前年同額のものが残っている場合不良資産として自己資本額から控除されます。例えば自己資本500万円の資産超過でありながら、1,000万円の貸付金があり全額不良資産に分類された場合、自己資本▲500万円で債務超過に転落します。これだけで正常先から要注意先に転落です。このように銀行は決算書をそのまま評価しているのではなく、資産性がないもの、見えないものについては除外し、実質自己資本を算定して債務者区分を決定しているのです。
どうすればプロパーが借りれる?
上記の様に不良資産もなく正常先に判定されてもまだプロパーが借りられるかどうかはわかりません。正常先の中でもランクがありそのランクが上であればあるほど借りられる可能性は高くなります。しかし、ランクが低くてもプロパーを引き出せる可能性はあります。一番可能性が高いのではと思うのが、保証協会との抱き合わせでプロパーを噛ませる方法です。初めてのプロパーであれば必要資金の半分は保証協会が持ってくれるのでハードルは少し下がると思います。このような商品は恐らく金融機関側で事前稟議の承認を取ってからでないとお客様に提案できない商品だと思いますが、何より一番大事なのはプロパーを貸してほしいという意思表示を担当者にすることです。そうすることで、金融機関側でもあの会社はプロパーを意識しているという意識が出てきます。
そして複数行取引があるのであればメイン行に対してサブバンクの存在をさりげなくちらつかせることも有効だと考えます。メイン行はシェア逆転されるのも困りますし、ある程度の優良先であればサブにプロパーを出されて、保証協会分も丸ごと肩代わりなんて事も頭をよぎるかもしれません。
プロパーを目指しながらも関係は良好に
そうはいっても金融機関との関係が悪くなるような露骨な対応は避けるべきでしょう。サブバンクにプロパー、保証協会全部お世話になります!という状況は一見強固な関係に見えますが、その一行でも支えきれない状況になった場合や融資を断られた場合に相談する先がなくなります。それは非常にピンチですので、複数行との取引を良好に行うようバランスを取りながら付き合うようにしましょう。その上でプロパー融資を引き出せるように財務内容の向上を目指しつつ、自社の事を理解してもらう為の書類、例えば試算表、事業計画、資金繰り表、企業概要等の書類をもって定期的に業績を報告する様にしたら、よりプロパー融資に近づくと思います。
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