会社によっては資金繰り表を作って資金管理しているところも少数ながらあるとは思います。しか銀行融資診断士のテキストには肌感で約9割の会社が資金繰り表で資金管理をしていないという記載もありました。現実はそれくらいしかしっかりと管理はしていないのでしょう。しかし、そのような中でどのタイミングで資金調達をすればいいのかと考えたら、実際資金が目に見えてなくなってきたとき、若しくは目先に投資したいものがあるなど、実際に支出や資金不足を認識したタイミングでの資金調達活動になってくると思います。果たしてそのタイミングが適正でしょうか。
資金管理をしていない場合
資金管理をしていないので、いつ資金が必要か、どのくらいの金額が必要かなどは肌感覚でしかないと思います。しかし、9割程度の会社で資金管理ができていないのであれば、そのような管理を既存の人員で対応する事まで手が回らないのが現実なんだと思います。それでも資金調達をするタイミングの目安になる事があると思います。そのうちの一つが金融機関が融資提案してきたタイミングです。
金融機関は晴れた日に傘を貸し、雨の日に傘を取り上げるといわれることがありますが、実際その通りです。晴れた日は業績も好調で融資も前向きにできるとき、雨の日は業績が悪く融資ができずむしろ回収に走りたいときです。
この考えで行けば少なくとも銀行が融資提案をしてきたタイミングであれば資金調達できる可能性が高い時です。資金が枯渇してきたタイミングで融資を申し込むと万が一否決になった時に対処の幅が非常に狭くなります。しかし、資金にさほど困っていない時に資金調達をすれば少なくとも業績が傾いてきてもある程度の資金は手元にある状況にはなるはずです。
不要な資金を借りて無駄な利息を払いたくないという気持ちはわかりますが、資金繰り管理をしていない以上、借りれる時に借りておく方が安全に事業運営できると考えます。経営が傾いてきたタイミングでの資金調達はリスクを伴うので、社長の精神衛生上良くないと思います。
仮に業況が悪くならず、調達した資金を使わなかったとしても金融機関への返済実績が作れるので、増加運転資金などで後々本当に必要な時に金融機関側としても取り組みやすくなります。
資金管理をしている場合
一方で、資金繰り表で資金管理をしていると言っても実績資金繰り表だけでは直近の預金残高くらいしか把握できません。その為、しっかり管理しているというのは資金繰り予定表を作って半年後、一年後の資金繰りまで管理していることを指します。この場合であれば、資金がいつの時点で潤沢で、いつの時点で枯渇してくるか把握できるので、枯渇してくる前に資金調達活動ができます。これは非常に重要な事で、資金が枯渇する前に行動できれば万が一メインバンクから融資を断られた場合でもサブバンクなどに相談できたり、その他の対策を打つことができます。それにどれくらい資金が必要かの判断もしやすいので、無駄な借入をせずに適正金額を調達する事ができます。それに金融機関に提出する資料として既に資金繰り表があるので、状況を説明しやすいのもポイントですね。
しかし気を付けなければならない事もあります。資金繰り予定表があるからといって全てが予定通り行くわけではありません。例えば税金の支払いを加味していなかったり、取引先が急に倒産して貸倒が発生したりと不測の事態が起こる可能性も0ではありません。そういう意味では資金繰りを管理している場合でも、金融機関からの融資提案があったタイミングでの資金調達はアリだと思います。
もちろん与信枠全体を使う必要はないですが、少し余裕を持てるくらいの金額で資金調達を検討する事は悪いことではありません。
じゃあ資金繰り管理してなくてもいいんじゃないの?
借入するタイミングに大して差がないなら資金管理の必要性が乏しいと感じるかもしれません。ですがそれは違います。資金繰りの管理は資金調達だけを目的としたものではないからです。資金調達はあくまでも資金繰りを安定化させるための方法の一つです。その為、借入のタイミングだけにフォーカスしてやるやらないという話ではないのです。資金管理をすることで、月中や期中のお金の流れが見えてきますし、年間のお金の流れや癖も見えてくるかもしれません。加えて無駄な支出も見直しができるかもしれません。そして何よりも資金ショートしない事が大前提としてあるので、その管理をする為にも資金繰り表は作成した方がいいのです。
そして資金繰りの安定化を図る為にするのが資金調達ですから、より可能性が高い時期にすることに合理性はあると思います。しかし資金繰り予定表を基に資金調達計画を練って、その通りの時期に調達する事も当然いいことだと思います。どちらがいいとは一概には言えないのですが、個人的には計画は計画として作っておいて、それより前に金融機関から提案があればそれに乗るかどうかを検討するのがいいのではないかと思います。
ただ、、、、、、金融機関から提案があったとしても必ず融資が受けられるというわけではありません。あくまでも提案は現場サイドから見た状態で行うので、それを保証協会で見たときや本部で見たときに何かしらの瑕疵があれば否決になる可能性もある事は頭の片隅に入れておくべきでしょう。
コメントを残す