資金繰りがどうしても行き詰った時は金融機関の借入について条件変更を依頼します。その時に複数行から借入をしている場合はどうすればいいでしょう。一行の毎月の返済負担が大きいので、そこだけ条件変更できないものかと考える事もあるかと思います。
例えば、メインバンクとは関係を崩したくないし、今後の追加融資の可能性を潰したくないからサブバンクだけ条件変更したいという場合ですね。
結論から言うと、これはNGです。
なぜNGかというと、サブバンク側からするとメイン行でもないのに一番割を食う状況にYESを出す理由がないからです。具体的に言うと、メインバンクはどんどん約定弁済が進んでいき回収が進んでいきます。一方サブバンクは利息の回収はあれど、元金の回収はされません。そうすると、サブバンク側からすると、なぜ当行だけが回収リスクを負わなければいけないのかという気持ちになります。
現実的にはそんなことを思うまでもなく、メインバンクが条件変更をしないのであればサブバンクでは条件変更の依頼を受けないとは思います。その為、メインバンクが条件変更を受け付けしているかどうかの確認は必ず入ります。
そしてここで嘘をついても、その嘘は必ずバレます。次回の決算書を見れば一目瞭然です。加えて保証協会付きであれば、条件変更依頼書の所見欄に「他行協調につき取り上げたい」という旨を記載するので、協調していなければ問い合わせが入ると思います。
過去一社だけ、私が担当する前から条件変更をしており、日本政策金融公庫の借入だけ条件変更をしていない先がありました。条件変更の更新の稟議を作っているときにはじめて店長に指摘されて気づいたのですが、前任に確認したら、お客さんの希望だからとのこでした。これについては今でも腑に落ちません。
なんでこれが稟議通ったの?と思うのですが、今思うのは他行協調だと聞いて条件変更を実施したら公庫はしてなかったという事に後で気づいたパターンじゃないかなと思います。
余談はさておき、元金返済が0円の場合は全行一律元金返済なしで条件変更をすればいいのですが、2年目以降、元金返済をつけてくれという依頼があると思います。苦しいながらも5万円は毎月返済できるという状況の場合、その5万円はどこに返済していけばいいのでしょう?
正解は各行の残高で各行案分返済となります。この辺りは金融機関担当者が自分たちで案分して条件変更してくれる場合もある思いますが、案分割合より多い額を一行に返済する契約をしてしまうと金融機関同士で揉める原因になるので、元金返済するのであれば事前に自社で案分返済額を出してそれを基に条件変更の継続を依頼しましょう。
全行協調での条件変更が基本なのですが、交渉する順番としてはメイン行から交渉していくのがいいと思いまうます。メイン行が条件変更を受けたらサブバンクは受けざるを得ないのですし、担当者としても他行協調を理由に取り上げやすくなります。これがサブバンクからの交渉だと上記の様にメインはどうだ、変更手続きはもうしてるかのとかで話が進みにくいと思います。
資金繰りに窮している状況で一刻も早く条件変更の手続きを取りたい場合は話がうまく流れていく順番で交渉しましょう。もし予定がつかずメインバンクが後回しになってしまう場合もあるかもしれませんが、その場合でもしっかり全行一律に条件変更をお願いする旨、いつメイン行と面談するか等信用に値する情報を提供しましょう。
中小企業の条件変更等はできる限り対応してくださいという趣旨の金融円滑化法はずいぶん前に終了していますが、今でも条件変更の依頼があった場合何か怪しいことがない限り条件変更は取り上げてくれると思います。しかし、金融機関としては条件変更は後ろ向きの仕事であり利益を生まない作業です。できるだけやりたくないというのが正直なところ。それをやってもらうのですから、不義理のないように準備して交渉していただきたいと思います。
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