創業融資、創業融資と巷ではよく聞きます。その名の通り創業時期の企業の資金繰りの為に利用される制度ですが、詳しく内容を知っていますか?実は私は民間金融機関の創業融資は取り扱いがありますが、公庫さんの創業融資話を聞いた程度しか知らなかったので、自分自身のリマインドを含めてここで皆様にお伝えできればと思います。日本政策金融公庫の創業融資は創業後7年以内の企業が使える制度ですが、よりメリットが強いのは創業から2年以内の会社なので、今回創業2年以内の会社に絞ってご説明させていただきます。
日本政策金融公庫の創業融資のメリット3点
- 無担保・無保証人融資
原則事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象。 - 利率を一律0.65%引下げ
基準金利2.40~3.60%から0.65%引き下げされます。事業開始後税務申告を2期終えていない方が対象
※経営者保証免除特例利用の場合は0.2%の上乗せ金利が発生します。 - 長期でご返済可能
設備資金は20年以内、運転資金は原則10年以内(いずれも据置期間5年以内)
まず1の無担保・無保証ですが、これは何の後ろ盾もない創業時の社長にとってはとてつもなく大きなメリットだと思います。担保として家を取られるでもなく、代表者自身も保証人とならなくていいので、万が一事業が失敗して返済不能になった際も代表者個人の返済義務が生じません。これは家族がいる方も安心ですよね。ただし、原則とある様に、担当者の判断によるところもあろうかと思いますので、場合によっては経営者保証を付けなければ承認が下りないケースもある事を認識しておきましょう。
2の利率の引き下げですが、一見基準金利がそんなに低くないのではと思いましたが、保証協会と違って保証料がないこと、無保証人である事を考慮すれば一番高くても3.15%。仮に1,000万円を調達して元金1年据え置きの場合は年間利息315,000円。金利2%の時の比較して年間差額115,000円。約10万円ほどの差ですが、無担保、無保証、無保証料である事を考えたら決して悪くないと思います。※上乗せ金利0.2%考慮済
3の返済期間ですが、民間金融機関(保証協会制度)であれば通常MAXでも7年が限度です(設備の場合10年)。そして据え置き期間は1年までです。期間が長く取れる事が一概にいいとは言いませんが選択肢が広いことはいいことだと思います。これは運転資金よりも設備資金の時によりメリットかなと思います。
基本的な融資制度の内容とは?
ご利用いただける方 | 新規開業の方または事業開始後概ね7年以内の方 |
資金使途 | 設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
ご返済期間 | 運転資金10年、設備資金20年いずれも据え置き5年以内 |
利率(年) | 基準金利 |
創業から7年程度の会社でも使える制度なので非常に門戸は広いと思います。しかし上記3点のメリットは2期目の税務申告が終わっていない会社しか受けられないので、その点はご注意ください。
また金利については一定の条件を満たした経営者の場合、更に優遇されます。よく聞くのが女性・若者・シニアというもの。具体的には女性・35歳以下・55歳以上のいずれかの条件に当てはまっている経営者では特別利率が適用されます。税務申告2期未満で特別利率が適用される場合は2.00%~3.20%の範囲となります。その他にも特別利率が使える場合もあるので都度確認していただければと思います。
※経営者保証免除の場合0.2%上乗せ
融資限度額について運転資金で4,800万円となっていますが、国民生活事業(※資本金・従業員数によって公庫の中での管轄が変わります。一定の条件を超えると中小企業事業が管轄となります)では平均900万円の融資実績とのことなので、希望金額が1,000万円、2,000万円、3,000万円と多額になるにつれてハードルは上がります。
とはいえ、創業時に1,000万円前後調達できれば十分大成功と言える範囲だと思います。余程大きな事業や何かしらの後ろ盾があって始める事業でない限り、借入で1,000万円以上が必要になる企業もそう多くはないんじゃないかと思います。
どうでしょうか。あまり資金調達になじみがない方はこの条件が如何にすごいのかいまいちよくわからないと思いますが、金融機関出身者からすると非常に手厚いと感じます。一般的に経営者保証を外そうと思うと経営者保証のガイドラインというものに沿った対応をしている必要があります。到底創業時の会社が揃えられる条件ではありません。それがいきなり経営者保証なし、無担保で資金調達できるのはとても有難いことです。加えて保証料もありませんので、最初に手元に入る資金は保証協会利用時よりも少し多いかと思います。(※因みに都の創業制度だと保証料2分の1補助はあります)
多少表面金利は高いかなという印象もあるかもしれませんが、あまりわずかな金利に惑わされないでほしいと思います。4%、5%になると一般的に高いかなと思いますが、プロパー同等で3%前後であれば必要経費として割り切っていただいていい範囲です。
昔は資金調達を公庫でされると商売あがったりだと思ってましたが、借り手の立場に立てばこの制度で借入したい気持ちはよくわかります。調達にあたって手間もかかりますが、それはそれで必要な事ですので、創業資金の調達が必要な時は日本政策金融公庫の創業融資を検討してみてはいかがでしょうか。もちろん、民間金融機関を利用した方がいいこともあるので、都度どの借入がベストなのか検討していただければと思います。
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