本日の日経新聞の記事にこれから創業する方、業歴が浅いかたに是非見ていただきたい記事がありました。
「東大院在学中に起業した2人、数カ月で陥った資金繰り難」
春にスタートアップ起業、夏には資金繰り難航 20代経営者が頼った先 YOUTH FINANCE⑨ – 日本経済新聞
この記事は2人の若者が自己資金で創業し、借入に頼らない成長を目指していたが資金繰りに困窮したという話なのですが、その後資金調達によって難を逃れたという内容です。
具体的には、財務内容が良くなかったので信用保証協会は断念して日本政策金融公庫の創業融資を申請。そこで資金をつなぐことができてその後売上が増加していきVC(ベンチャーキャピタル)から出資を持ちかけられるまでになったという内容。
創業してからある程度時間がたってしまった状態で業況が良くなかったら保証協会の利用が難しくなるのは正しいと思いますし、次に検討するのが公庫である事も正しいですね。ここで安易にノンバンクの事業性ローンに手を出してはいけません。審査にかかる時間や難易度が高くないなどの理由で借りられる可能性は高いのかもしれませんが利息が普通の金融機関よりも数倍高いのが常です。
ここでやはりそうなのかと思いましたが、創業期に関しての事業性(将来性)は民間金融機関(保証協会)より日本政策金融公庫の方が、実態を見てくれるんじゃないかという事です。確かにここの部分に関しては民間金融機関では支えれきれない母数があって、その分貸倒の発生リスクも高い部分だと思うので、公共金融機関がその部分を下支えするのは合理的ではあると感じます。それと同時に公庫はセーフティネット的な役割もある事を再認識させられました。
どういうことかというと、困った時、民間金融機関では借りられないときに公庫の枠を利用できるという事です。この記事の企業ではまず保証協会付きを検討して断念しているようですが、まさにこのケースですね。
その分売上が増加してきたときに再度借入が必要な時には民間金融機関から資金調達できる可能性が出てきます。
記事通りVCから出資依頼があったとしても、よくよく検討する必要があります。当然資金の提供を始めメリットもありますが、最大のデメリットである株の保有割合の減少によって意思決定に影響を及ぼしてくることもあります。その為金融機関からの借入でつなげられるのであればそうする企業もあると思います。
会社が成長する為に資金繰りの管理は避けては通れないのですが、やはり民間金融機関の立ち位置、政府系金融機関の立ち位置、VCの立ち位置をよく理解した上でどこから資金調達をするか検討することも経営において重要な事だと思いました。
自己資金で成長を目指すこと自体は悪いことではないですが、成長が行き詰って資金繰りに困りそうになった時に借入を起こすことは決して恥ずかしいことではなくいわば当然の事です。
そして借入が必要になった時にどこに依頼すればいいかを知っておくことが重要な事だと思います。特に創業期の方に関しては情報を持っていない方も多くいらっしゃいますので、ここでお伝えできれば思いました。
最後にご注意いただきたいのですが、日本政策金融公庫といえどどんな企業にも融資できるわけではありません。この記事に出ている企業の事業内容はAI関連のソフトウェア開発とのことで、他の一般的な飲食業やサービス業などの会社より将来性が期待できるから資金調達できたという側面はあると思います。(飲食・サービス業全般が将来性がないと言っているわけではありませんのでご理解ください。)
その為公庫はセーフティネット的役割もしてくれるから最後に公庫を残しておこう!と思っても困った時には公庫も貸してくれないという会社は少なからず存在します。そうならない為に、自社には何が強みで他社とはこう違うという差別化を意識して具体的に説明できるくらいにはなる必要があると思います。なんでもかんでも貸してくれるわけではないという事は肝に銘じていただければ幸いです。
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