借入の期間は長期運転資金であれば3年、5年、7年、10年などで組むことができます。運転資金の場合の返済原資はフリーキャッシュフローですので、利益が出て初めて返済原資ができると考えられます。その為、創業期の法人にとってはしばらく売上が安定して利益が確保できるまでは返済を止めておきたいですよね。
日本政策金融公庫や信用保証協会の制度では据え置き期間を設けています。日本政策金融公庫では返済期間にもよりますが、10年で組んだ場合、最長5年間据え置き期間を取れますし、保証協会であれば制度にもよりますが、6か月~2年取ることができます。
据置期間を取る事のメリット
- 据置期間は利息の支払いのみなので借入した資金を効果的に使える
- 返済が始まるまでの間に利益を上げられる体制を作ればいいので時間的猶予ができる
- 返済の心配がないので、事業に集中できる
1に関しては当然のことながら据置期間がなければ融資実行の翌月から返済はスタートします。その為、500万円借入したとしても、翌月からは既に500万円は手元にはありません。(保証料等手数料は考慮してません)
2に関しては据置期間を置かない場合よりも期限の利益のメリットを享受できる点です。返済スタートが後倒しになるのでその分資金効果が高くなります。事業を軌道に乗せるまでは簡単ではありません。その時間を貰えるのは非常に大きいですね。
3が実は結構大きいのではないかと思うのですが、返済の心配があると資金繰りの心配もしなくてはならないので、仕事が手につかなくなることもあるかもしれません。そうなったら悪循環の始まりです。据え置き期間を設定できれば少なくともその期間が終わるまでは返済を心配する必要がありません。
ではデメリットは?
- 返済が進まないので、次回の借入が難しい可能性がある
- 約定弁済の金額が多くなる
- お金を借りているいう責任感が薄らぐ
1は金融機関の判断次第なので据置期間中にめちゃくちゃ業績が好調など、追加融資が必要だと判断されれば可能性はあるかもしれません。しかし通常、返済実績がない会社に追加融資は現実的ではないかなぁと思います。
2は据え置き期間後に返済が始まったら借入期間で分割返済するよりも分割する月数が少ないので、返済元金も多くなります。その為返済が始まってからの返済負担は通常の期間返済よりも重くなります。
3はお金に色は付けられない事の裏返しなのですが、融資実行されて普通預金に入金されてしまえばどれが自己資金でどれが借入金なのかの区別はありません。その為利息の支払いしかないとお金を借りているという当事者意識が薄くなることもあるかもしれません。そうなると金融機関からどう見られているかを意識しなくなります。それは今後を考える上で非常にネガティブな事です。常にとは言いませんが、適度には金融機関からどう見られるかという意識は持っておくべきだと思います。
まとめ
このように融資の据置期間にはメリットもデメリットもあります。支払いが遅くなるメリットと返済負担が大きくなるデメリットを比較した上で据置期間をいれるかどうか決めていただければと思います。しかし、日本政策金融公庫も保証協会もいずれも据え置き期間を必ずつけられるわけではありません。審査の中で据置期間を付けない条件で融資を承認するという事もあります。その為制度としては据置期間はありますが、絶対に利用できるわけではないという事は覚えておきましょう。
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