資金調達を検討する機会として、①新たな事業を始める場合・②業況好調による増加運転資金が必要な場合・③資金繰りが厳しい場合・④設備投資。細かく分類すると色々他にもあると思いますが、ざっくりこんなところではないかと思います。このうち今日は③の資金繰りが厳しい場合の資金調達について記事を書いていこうと思います。
さて、資金繰りが厳しい場合資金調達をするという思考、至極当たり前の思考だと思います。銀行からしてもまだ借入余力があるという判断や、もしくは長年の付き合いでどうしても支援したいという想いから多少の無理を押して承認を取る場合もあるかと思います。経営者からすると今月の買掛金が払えない、人件費が払えないという状況を解消する為には当座の資金が調達できれば気持ちも落ち着くことでしょう。しかし、それは何かを解決してくれるでしょうか。
結論から言うと、業況が悪い時には借りない判断も必要という事です。
私は金融機関時代、営業だったので貸せる先にはガンガン貸せばいいと思っていました。新規事業に係る前向きな資金、資金繰り手当ての為の一時しのぎの資金など関係なく数字を積み上げる事を優先していました。しかし、客観的に見て業況が悪い先に関しての融資はもっと慎重にすべきだったと反省する部分もあります。
なぜならそのまま業況が改善せず倒産する企業も一定数見てきたからです。自分が担当している間に倒産するところもあれば、担当から外れて数年後倒産の報を聞くケースもあります。
返済が進んで借入がなく会社を畳む状況であればそれはそれでいい終わり方だと思いますが、資金繰り改善の為に資金調達をした挙句、条件変更になりそのまま業況改善せず倒産になったら自己資金で返済するか破産申請のいずれかです。
ここまでで何が言いたいかというと、傷口を広げない事も考えてほしいのです。借入するという事は負債が増えるという事です。その分返済負担は増えます。
しかし借入をせずに返済を進めていけば負担はどんどん軽減されます。・・・・記事を書いている自分でもきれい事だと思いますし、実際資金繰りに詰まったら喉から手が出るほど融資を引っ張りたい気持ちになる事も理解できます。
それでも、一旦立ち止まりよくよく考えてみてほしい。本当に今の状況で資金調達をした結果何かが改善するのかどうかを。
私が思うに、以下の事をしっかりやった上で判断すべきだと思います。
- 経費(支出)の見直しをしっかりする
- 今後の見通しを把握する
- 見通しが立っていない場合に妥当性のある経営改善計画を作っている・もしくは作れる
- 調達した場合の資金使途は明確にしている
- 借りた金は返す=業況を改善するという強い気持ちを持っている
少なくとも以上の項目を勘案して借りるかどうかを判断してほしいと思います。5に関しては精神論かと思うかもしれませんが、結局は気持ちの部分です。5が満たせないのであれば、1~4は意味を為しません。5があった上で1~4に意味が出てくるのです。大概のケースで一時しのぎの為の資金調達は数か月後に今より負債を増やした状態で同じ状況になる可能性が高いです。(当然ですが同じ一時しのぎでも売掛入金までのつなぎ資金は問題ありません。)
よく債務超過でも資金調達できます!というような事も聞きますし、実際借りれるケースもあるでしょう。ですが余程今後にいい見通しがない限り安易に資金調達すべきではないと個人的には思います。お金に色は付けられません。稼いだお金も借りたお金も口座に入ればお金はお金です。その上で業況改善フェーズで資金調達をするのであれば、自分は借入を返すんだ、今の状況を改善するんだという強い気持ちを持って借入をしてほしいと思います。
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