借入を起こすときに必ず決めなければならないものが借入の期間。短期資金なら1年以内ですが、長期資金であれば3年・5年・7年・10年の中から決めるのが一般的かと思います。しかし、どうやって期間を決めているでしょうか。金融機関に説明される約定返済の金額を基に決めている方もいらっしゃるのではないでしょうか。1,000万円の期間5年であれば毎月元金167,000円+利息。期間7年なら毎月元金120,000円+利息。毎月の支払が少ない方が楽だから7年にしようかな。という風な決め方をする会社もあると思います。確かに毎月の支払が少ない方が資金繰りは楽になると考えるのは正しい考えであると思います。
しかし、支払いを軽くする反面なかなか元金が減っていかないという事も一つの問題としてあります。何が問題なのかというと、借入を追加するときに既存の借入残高がそこまで減っていないので、融資が希望通りの金額でできるかが問題となるのです。業績が好調で、売上・利益ともに増加しているような場合であれば問題ないでしょう。しかし、一般的な中小企業で、増収増益を毎期繰り返しいける会社はそう多くありません。業況は安定しているが売上・利益とも横ばいという会社であれば資金調達によって支払いが更に増える事も考えられます。借換で返済額を変えずに真水を得る方法もあるかもしれません。しかし、調達できる金額もそこまで多くはないと思います。
ではどうしたらいい?
これは資金使途によって変えるのがいいのではと思います。増加運転資金であれば5年~7年で借入して、資金繰りの安定化を図る事も必要だと思いますし、一方で、営業人員増加による人件費等の諸経費支払いを目的とする場合は3年~5年で組むことが目的に沿っているのではないかと思います。逆に管理部門の売上に直結しない人員の増加を見越した資金調達の場合期間を長めにとってもいいんじゃないかと思います。両方採用という場合もあるでしょう。そのような時は長めにとってもいいと思いますし、逆に営業人員を増やすことでかなりの売上増加が見込める場合は短めにしておいてもいいかもしれません。これには正解はないので、会社の資金繰り予測を見た上で決めることが最善だと考えます。
でも資金繰り予測はよくわからないし・・・
こういう会社もあるでしょう。そのような時にも一定の根拠をもって年数設定をすることをお勧めします。何も考えずに期間を決める事が無いようにしてほしいと思います。その上で、個人的には長期資金の中で期間5年が一番無難な期間設定かなと思います。短すぎず長すぎずといったところでしょうか。2年半返済すれば半額減りますし、毎月の返済額も特別多いわけではないと思います。3年だと毎月の返済負担は結構重ためになりますし、3年で売上や利益が増加しないリスクもあります。一方7年だと返済負担は軽めですが、残高が減っていかないので、追加融資を検討してもらうまで時間がかかる可能性もあります。そういった意味でちょうど間の5年が無難といえば無難かなとおもいます。ただ、無難に5年というよりはその期間の根拠を持たせられるくらい、資金繰りの事を把握してほしいと思います。
タイトルには10年も入れてありますが、基本的に新規の運転資金で10年の期間設定はないと思います。借換の際に10年を設定できる制度があるので入れましたが、10年だと本当に元金の減りが遅いので、利用の際は資金繰りが厳しいなどの理由がない限り敢えて10年で設定しない事をお勧めします。
結論
会社の資金繰りをよく把握して決めていただくのが最もいいのは間違いないと思います。しかし、そこまで考える時間も手間かけられないという方は5年であればそんなに大きな問題はないのではないかと考えます。あまりいい表現ではないとは思いますが、敢えていうと、融資金が今まであった資金と合算されるといつの間にか資金が溶けているという会社もあると思います。そういう会社はいつでも資金繰りが忙しいので資金調達したのにあまり資金効果を感じていないという状態に陥りやすいと思います。それでは資金調達したことによって更に返済負担を感じるようになるので、資金調達自体にあまり意味がありません。借りない方がよかったというケースですね。そういう事にならないように借入を起こす前にしっかり資金繰りを把握した上で、借入を起こす、期間を設定する、また次回以降の借入も考えるのかどうか等を検討する事が会社の適切な資金繰りに寄与するものと思います。いつまでも安心して資金繰りを回せる会社を作っていきましょう!
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