金融機関というのは常に縦社会です。支店の取り組み方針の決定から稟議の承認まで下から上に上がっていって最終的に支店長が承認する事で実行されます。企業が銀行との関りを持つのは営業担当もしくは支店にいる融資担当のいずれかです。役席の場合もありますが、支店長ではありませんので決済権限はありません。直接支店長と関わりを持つ機会はそう多くないかもしれませんが、支店に行く機会があれば挨拶をして覚えてもらう事は非常に大事な事だと思います。
支店長に合うメリット
支店長に会うのは少し緊張すると思う方もいるかもしれません。しかし支店長はお客様とのやり取りに慣れていますので(一部そうでもない人もいますが)、時間があれば挨拶程度の会話は普通にできますし、仮に決算の報告で同席してほしいと依頼しても予定が合えば同席してくれます。理由は何でも構わないと思うのですが、支店長に会う事でいい面もあります。それが下記です。
- 顔と名前を覚えて貰っていると融資の時に営業担当も相談しやすい
- 会った時にいい印象だったら逆に支店長から何かできないかと聞き取りがある
- 決算報告で会えれば一緒に決算書を見れるので、営業担当が思いつかない融資を考えてくれる可能性がある
- 支店長の雰囲気を感じ取れる(営業畑か融資畑かの確認)
1についてはやはり審査するのは人なので、顔を知っているかどうかは結構重要です。もちろん知っているからだけで稟議が通る事はないですが、よく知らない先は確認事項が増えたりしますので決済のスピードに影響します。
また2については支店長もいい経営者だと思えば何かしてあげられないかと思うものです。ここでいういい経営者とは決して業績事だけではありません。礼儀・礼節・挨拶・業績報告などをしっかりしてくれる経営者も支店長からするといい経営者としてのくくりに入る可能性は高いと思います。特に、業績(決算)報告については支店に決算書をもってきて社長自ら説明してくれる人はほとんどいません。なので定期的に訪問し業況などの情報を共有しておくと非常に印象に残ります。
そして3につながるのですが通常稟議書が回ってくるとき以外で支店長が個別の企業の決算書を眺めることはほぼありません。その為支店長に決算書を見てもらう事で、支店長の経験を活かした融資のアイデアなどが貰える可能性があります。また支店長の権限範囲内であればプロパー融資のGOサインも出るかもしれません。
そして4についてはどういう支店長かによって取組姿勢が違うという意味で支店長の雰囲気を知る事は重要です。営業畑の支店長の場合数字の積み上げ意識が高いので、割と積極的にあれこれ提案してくれたり’漢気’を見せてくれたりします。’漢気’とは、ちょっとなぁという先でも責任を持って承認してくれるという意味です。逆に融資畑の支店長は貸倒を気にする傾向がある為、営業畑よりは慎重な審査をする人が多い印象です。融資畑の人は見るところも細かいのでわかりやすい資料で業績推移に懸念がない事の説明など安心材料をより詳細に伝える必要があります。
支店長が嫌う事
上記の様に支店長に会うメリットは非常に大きいと思います。一方で支店長が嫌がる事もあります。
それは上から目線で対応されること。要するに借りてやってるという態度をあからさまに見せる事です。金融機関は数字の世界なのでどうしてもお願いして”借りてもらう”ことも現実的にはあります。それでも持ちつ持たれつの関係なのでお互い納得の上で融資実行をしますが、それをあからさまに借りてやってるという態度を見せると支店長からの印象は悪くなります。またそれをダシにしつこく金利交渉をする、又は他行肩代わりをチラつかせるのは非常に面倒だと感じます。金融機関からすると融資残高の維持はしたいですが、面倒なお客様と判断したら逆に金融機関から切られてしまう事もあり得るので駆け引きは慎重にしてほしいと思います。
まとめ
あと私が良く覚えている店長は、「困った時だけ近寄ってくるな!」とよく言っていました。普段からコミュニケーションが取れてるわけじゃないのにいざ困った時だけ助けてくださいは通らないという意味です。これは確かになぁと思って今でも覚えています。どんな状況であったとしても事前に色々相談したのちにそれでも困った状況なので助けてくださいがあるべき姿だと思います。いきなり、状況もよく知りもしないのに助けてくださいと言われても困りますよね。こういうところからも定期的に支店長に業績報告などで顔合わせることは必要な事だと考えます。前向きな融資相談に関わらず条件変更の可能性がある時でも、しっかり現状を伝えることも継続的な支援を受けられるかどうかに直結します。あまり会う機会・理由がないからこそ是非何かしら理由を付けて会ってみてほしいと思います。
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