「日本人の配偶者等」は、日本で生活する外国人の在留資格の中でも比較的ポピュラーなものの一つです。しかし、単に日本人と結婚していれば誰でも取得できるわけではありません。在留資格としての**該当性(=本当にその資格に該当するか)**をきちんと満たしているかが、申請における大きなポイントになります。
◆ 「日本人の配偶者等」とは
この在留資格は、日本人の配偶者(=配偶者としての婚姻関係にある者)または実子・特別養子に与えられるものです。つまり、対象者は大きく分けて次の通りです。
- 日本人と法律上の婚姻関係にある配偶者
- 日本人の実子
- 日本人の特別養子(民法第817条の2に基づく)
この記事では「配偶者」のケースを中心に解説します。
◆ 在留資格該当性とは?
「在留資格該当性」とは、その在留資格の趣旨・目的に合致する活動や立場にあるかどうかを判断する考え方です。
「日本人の配偶者等」の場合、単に婚姻届けを出して法律婚をしていればいいわけではなく、実体のある結婚生活をしているか(またはしていく予定か)が重要です。
◆ 在留資格該当性のチェックポイント
✅ 1. 婚姻の真実性
以下が審査で特に見られます:
- 交際の経緯(出会い~結婚までの流れ)
- 言語の意思疎通
- 結婚式や同居の有無
- 家族の承認状況
- ビザ目的だけの偽装結婚でないか
▼ 実例①:オンラインで出会ったカップル
- 日本人Aさん(30歳)とフィリピン人Bさん(29歳)は、オンラインゲームで出会い、3年交際。
- 年に数回渡航してお互いの家族に会い、2024年に日本で婚姻。
- 同居予定先の住宅の契約書、LINE履歴、2人の写真など多数の証拠を提出。
→ 真実性が高いと認定され、在留資格が許可。
▼ 実例②:結婚から申請までが短く、交際歴が浅いケース
- 日本人Cさん(45歳)と中国人Dさん(24歳)は、出会って半年で婚姻。
- 交際歴が浅く、言語も通訳を介さないと意思疎通が困難。
- 同居の予定もなく、頻繁な連絡や交流の証拠も乏しい。
→ 偽装婚の可能性を疑われ、不許可となった。
✅ 2. 同居・生活実態の有無
日本で夫婦として共同生活を営む意思と実態があるかが重要です。以下が審査されます:
- 同居しているか(あるいは同居予定があるか)
- 経済的な基盤があるか(生活費の支弁能力)
- 配偶者との関係が継続的か
◆ 注意すべきポイント
- 離婚すると在留資格は失効対象(離婚後も居住継続を希望する場合は「定住者」などへの変更を検討)
- 虚偽の結婚は入管法違反として処罰対象
- 結婚後に一定期間別居が続くと、更新や在留資格変更で問題になる可能性あり
◆ まとめ:形式だけでなく実態が重要
「日本人の配偶者等」の在留資格は、婚姻の届け出という形式だけでなく、実際に夫婦としての関係を維持しているという実態が重視されます。
審査は想像以上に細かく、事実関係を立証する資料の準備がカギとなります。
✅ 申請の前には、専門家に相談を!
特に短期間の交際や年齢差があるケースは、書類の構成や説明の仕方ひとつで結果が変わることも少なくありません。

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