🔹企業内転勤の在留資格とは?
グローバル化が進む中で、日本国内にある外資系企業などでは、海外拠点からの社員を日本に呼び寄せる機会が増えています。そんな時に必要となるのが、「企業内転勤(Intra-Company Transferee)」という在留資格です。
この記事では、実際のケースを交えながら、企業内転勤ビザの概要・条件・注意点を解説します。以下出入国管理庁HPより:在留資格「企業内転勤」 | 出入国在留管理庁
「本邦に本店、支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行う入管法別表第一の二の表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動。該当例としては、外国の事業所からの転勤者。」
🔹 企業内転勤とは?
定義:外国にある本社・支店・子会社・関連会社などで働いていた外国人社員が、日本国内の関連会社に一定期間勤務するための在留資格。
- 日本国内で新たに採用されるのではなく、「転勤」扱いであることがポイントです。ただし出向でも可。
- 対象となる職種は、基本的に「技術・人文知識・国際業務」と同じ職務内容(技術職・マーケティング・通訳など)。
- 当該転勤の直前に外国にある本店、支店その他の事業所において継続して1年以上本邦の事業所と同一の業務に従事していたもの。
🧪 実例①:中国本社から東京支社へシステムエンジニアを転勤
Aさん(28歳・中国籍)
- 上海本社にてシステム開発業務を3年間担当。
- 日本法人(東京支社)で新プロジェクトを立ち上げるため、1年間の転勤を命じられる。
- 「企業内転勤」の在留資格で入国 → 無事就労開始。
✅ このケースのポイント
- 上海本社で継続して1年以上勤務していた実績がある
- 日本側での業務も同種のエンジニア業務
🧪 実例②:アメリカ子会社のマネージャーが日本本社で経営会議に常駐
Bさん(35歳・アメリカ籍)
- 米国子会社にて経営企画部門のマネージャーとして5年勤務。
- 日本本社におけるグループ戦略立案のため、2年の転勤命令。
- 「企業内転勤」で在留資格を取得し、日本で経営関連業務に従事。
✅ このケースのポイント
- 転勤目的が一時的な戦略強化のための出向
- 業務内容は技術・人文知識・国際業務の範囲内
📌 企業内転勤ビザの主な要件
要件 | 内容 |
---|---|
勤務実績 | 海外の所属会社で1年以上継続して勤務していること |
関係性 | 転勤元と転勤先の企業が親会社・子会社・支店などであること |
業務内容 | 「技術・人文知識・国際業務」に相当する職務 |
雇用主 | あくまで転勤元(外国法人)との雇用関係が維持される(日本法人が直接雇用するわけではない) |
報酬 | 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬 |
🧭 申請の流れ(概要)
- 在留資格認定証明書の申請(COE)
- 証明書交付後、海外の本人に送付
- 本人が海外の大使館・領事館でビザ申請
- 入国・在留開始
⚠️ よくある注意点
🔸「1年未満」の勤務歴では申請できない
🔸アルバイトや単純労働(清掃・工場作業など)は対象外
🔸在留期限は最長で5年(ただし更新可能)
🔸日本で転職を考える場合は在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更も可能
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
在留資格名 | 企業内転勤 |
対象者 | 外国法人で1年以上勤務し、日本法人に転勤する外国人 |
業務内容 | エンジニア、通訳、会計、マーケティングなど専門職 |
メリット | 雇用契約を変えずに日本で働ける、柔軟な移動が可能 |
「企業内転勤」ビザは、日本企業が海外から専門人材を柔軟に呼び寄せるための強力な制度です。
特に、外国人社員がすでに海外のグループ企業で実績を積んでいる場合、そのスキルやノウハウを日本に活かす手段として非常に有効です。
この在留資格が活きるシーン
• グローバルな視点で開発・マーケ・会計などのスキルを国内に取り入れたいとき
• 海外支社のエースを短中期的に日本本社へ呼び寄せたいとき
• 海外現地で鍛えたマネージャーを、日本法人の戦略に組み込みたいとき

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